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レース職人が語る奥の深いレース製造の秘密

(更新は不定期です)

「レース」という言葉は、英語のLaceからきた言葉です。これは古代フランス語のラシ(lacis)(編物・綱の意)の由来です。大正時代末期、日本にレース機が導入され、本格的に機械レース産業が発展、第二次世界大戦後、1950年代には高度経済成長の流れを受けて規模が一気に拡大しました。昭和30年代には、多くの女性が総レースのお洋服を着ているのが当たり前になり、レースは女性のファッションアイテムとして定着したのです。

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シャトル

レース機のボビン

家庭用ミシンのボビンに当たる所をレース機ではシャトルと言います。シャトルと言ってもスペースシャトルの様に宇宙に飛立つことはありません。シャトルを格納するシャトルボックスに斜め右向きにセットされています。真ん中に穴が空いてるのは裏糸の残量が見えるためです。シャトルは少し斜め上下に稼働し表糸が布を通過する際に出来るループにシャトルの先端を潜らせ糸が縫われていくのです。

 

レース機の裏側

シャトルの秘話

レース全盛期には、表糸に1人、裏糸に1人が糸の交換担当として張付き作業ていました。表糸にもお伝えした通り、裏糸も同様にレース機を停めることなく裏糸交換をしていました。必ず10個のシャトルを持ち1040個の裏糸が無くならないようにの管理をしていました。当時は紛失してしまうと見つけるまで全員で探す程に高価な物だったようです。

 

蚕玉

かいこだま

レース機の裏糸は蚕の繭みたいな形をしています。
シャトルの中に手作業で裏糸を詰め1040個のシャトルを指先の感覚だけでテンション(糸調整)が均一になる様に調整します。緩かったり、固かったりしていまうとレース模様が崩れてしまいます。この1.5cmほどの蚕玉で約20時間ほど作業ができます。

 

糸通し

機械を止めずに糸通し

昭和30年代、就職のためレース製作工場では多くの女性が全国からレースの技術を学びに来ました。エンブロイダリーレース機にセットされている針1,040本への糸は、特殊なホックを使用して通します。当時はとても大量生産が求めらており、稼動中の機械へ糸を通す技術は必須でした。そのため、練習機を使用して何ヶ月もの研修期間ののち、糸通し技術を習得したといわれています。そして現オリオンレースのレース職人たち、もちろん稼動中の機械へ糸通し技術は健在です。

 

針の溝

糸道(いとみち)

針の横に付いている溝の事を“糸道”と呼びます。 糸道の役割は溝に糸を納めて、布と糸との摩擦軽減に一役かっているのが糸道です。糸を緩めたり締めたり、状況に応じながら縫い目を形成するのです。摩擦によって糸切れを防止するためにも大切な糸道なのです!表糸の通る方向に糸道を向けることには意味が有ったのです。

 

レース針

前後に稼動

全長14m、高さ4.5mの巨大なレース機には上段520本、下段520本で合計1,040本ものレース針が設置されています。家庭用のミシンの針は通常上下に動いて布が縫えますが、レース機の針は、設置した布に針は前後に動き、布は上下左右に動きレース模様を描きだします。